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ナボコフとドン=キホーテ

ナボコフのドン・キホーテ講義ナボコフのドン・キホーテ講義
(1992/07)
ウラジーミル ナボコフ

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読了。
ナボコフのドン=キホーテ観は流石。一流の作家は読み手としての力量もすばらしい。

人道主義とか、悲劇をセルバンテスは意識して物語を構成しているわけではなく、ひたすら残酷に体や心を使って笑いを取りに行く喜劇としてドン=キホーテを解説している。
ドン=キホーテを残酷な喜劇であると定義するナボコフの主張に僕は全面的に同意する。
笑えると同時に、心地良い悲しみがあるのも勿論事実なのだが。

シェイクスピアとセルバンテスは活躍した時期が同じであるがゆえに比較対象によくあがる。ナボコフも両者を比較するのだが、シェイクスピアの技量を全面的に上と認識している。はげしく同意。
セルバンテスは決して傑作を残した作家と比較してうまい作家ではない。
本人もそれほど自分の技量が優れているとは思っていなかったんじゃなかろうか。
戯曲家としては全く認められなかったわけだし。
この章は面白くない。こういう点で退屈。構成に失敗しているなど、率直に不出来な点をナボコフはずばずば指摘するのだけれどそれでもわずかな愛情をその合間にはさんでいるように思う。

僕が何度もセルバンテスについて言及しているように、ドン=キホーテという物語には思わず話してしまいたくなる魅力がある。
欠点があるがゆえに、余計かわいくかんじてしまう。
シェイクスピアを誰もが知る一流レストランとしたら、リーズナブルな余り知られていないけれど値段の割りにとても満足感のある家庭的な料理をだしてくれる居心地の良い小さな定食屋というか。

いずれにせよ、思わず言及したくなってしまう作品とが魅力的な作品こそ、長年愛される作品になっていくということは間違いない。たとえ欠点があるとしても。
それはたぶんゲームの世界でもおなじなのだろうな。

テーマ : ブックレビュー
ジャンル : 小説・文学

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Author:夢念
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