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デイヴィッド・コパフィールド 2巻 感想 

デイヴィッド・コパフィールド〈2〉 (新潮文庫)デイヴィッド・コパフィールド〈2〉 (新潮文庫)
(1989/03)
チャールズ ディケンズ

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1巻の感想の続き。大変楽しく読んだ。
芸術性より大衆娯楽、エンターテイメントの要素を盛り込んでいるがゆえに、アカデミズムにおいては高く評価されないのかもしれない。
ただ、読者を楽しませる力量という点では、ずば抜けて凄く、脱帽するしかない面白さだ。

凄すぎて少し落ち込む。
漱石の我輩は猫であるの諧謔精神は、ディケンズの2番煎じで、オリジナルに遠く及ばない事を認めざるを得ない。
我輩は猫であるを楽しく読んだ自分の読書体験は、ディケンズの圧倒的なうまさの前に吹っ飛ばされた。


大衆娯楽としての小説
ディケンズの最も優れている点は全く無駄のない的確でデザイン性の高い描写にある。
短く無駄のない簡潔な文章で面白い特徴のある人物や状況を描くのがめちゃくちゃうまい。
読者を退屈させずに物語に引き込む筆力はこの人に勝てる奴は居ないんじゃないか。

ディケンズの小説は大衆を楽しませることに恐ろしく集中している代物だ。
小説の第一目的を娯楽と捉えるなら、ディケンズに対抗しうる小説を今まで読んだことはない。


鳥山明とディケンズ

日本人でディケンズと比較するのに適当な人材を挙げるなら僕は鳥山明しかいないと思う。
鳥山明の作風はとてもディケンズに似ている。
鳥山明の漫画は、無駄な線が少なく非常にすっきりしているのに、独創性が高く想像力を掻き立てるところはディケンズの簡潔さに通じるものがある。そしてシンプルで洗練されたデザイン性こそがもっとも優れているポイントであることは全く同じだ。
鳥山明は週刊、ディケンズは月刊という形で雑誌に連載されていた為、1話(1章)だけ読んでも面白さが分かりやすい作品になっている。

比較的若くして成功を収めている点も同じ。
また150年前のイギリス、20年前の日本、共に繁栄を謳歌していたという経済状況も似ている。
小説、漫画の領域を拡大しながら大衆の人気を獲得する成功の手順もそれほど違わない。
ユーモラスを基調にキャラクターを描き出す手口も両者に通じる。


21世紀、現在のディケンズはどこに?
小説は現在大衆娯楽の王様の位置には無い。
もうずっと小説は娯楽の隅でじっとしていて、今、大衆を慰めている娯楽の王様といえば、ゲームや映画だろうか。
僕は映画をそれほど見ていないので、映画については何も書けない。

ただ、ディケンズの追及した面白さと今、ゲームで例えば宮本茂がゲームで表現しようとしている面白さを比べてみる。両者に相違はそれほどないのかもしれないと、ふと思った。

テーマ : 書評
ジャンル : 小説・文学

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Author:夢念
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