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デイヴィッド・コパフィールド 4巻 感想 

デイヴィッド・コパフィールド〈4〉 (新潮文庫)デイヴィッド・コパフィールド〈4〉 (新潮文庫)
(1989/03)
チャールズ ディケンズ

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3巻の感想の続き。
読み終えました。
これほどひたむきに読者を楽しませようとする努力と才能が同居している小説は読んだことが無い。
恐ろしいほど素晴らしい出来。

ディケンズも、自分の著作の中で当作品を尤も気に入っていたようだ。
エンターテイメント小説のバイブルとして小説並びに物語愛好家にもっと崇拝されてしかるべき作品。


とはいえ、この作品並びに作家について数少ない粗、気になったところをいくつか述べる。

まだ2作しか読んだことがないけれど、魅力的に書く女性がひどく似ているのが気になる。
漫画で言えば、女キャラが髪型や服は変えてもまるっきり顔が同じ。
2作に出てくる主要な女性キャラは、親に極端に依存している大人しい女性ばかりだ。
これは当時の社会的事情や紳士として許容できるヒロイン像が、親(世間)に強く依存することを強要したのかもしれない。

ディケンズの小説のヒロインの物足りなさを、ドストエフスキーと比べてみよう。
家に縛られる制約のない女性を書くために、ドストエフスキーのヒロインは生まれの悪い女性である事が多い(特に代表作のカラマーゾフ、罪と罰、地下室の手記等)。

ドストエフスキーのヒロインのほうが活力があり新鮮で、ディケンズの小説のヒロインはひどくありきたりで古臭く物足りなさがある。
脇役が本当に素晴らしい人物造形を連発しすぎているがゆえに、ヒロインの造形がやや陳腐であることが目に付いてしまう。



さて、次に良い所をあげるとするなら、ありすぎて挙げきれない。
ドストエフスキーのヒロインが良いといったけれど、文章でテンポ良く読者の興味を惹きつける能力ではディケンズのほうがずっと凄い。
総合力はずば抜けている。安定王者の貫禄がある。
プロットも練れているし、何より、1話1話をきっちり面白くする手際は本当に本当に凄い。
3巻でややだれた部分も4巻では思い切り良く切り回し、気持ちよく物語を転がしている。


何を書くかより、何を書かないかということに凄みを感じる。
読者が混乱しないよう周到に配慮されていて、書く対象が絞り込んでありブレが全く無い。
その的確で新鮮な描写は今でも十分な鮮度を保っている。


宮本茂は、僕らが作っているのは「作品」ではなく「商品」と言った。

ディケンズは娯楽小説の王様。
そしてデイヴィッド・コパフィールドは、小説界の最上の商品。

テーマ : 書評
ジャンル : 小説・文学

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Author:夢念
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